THE APPEAL AND FUTURE PROSPECTS OF BEING A DATA SCIENTIST
奈村取締役 : 先ほどのアンケート結果にもありますが、少子高齢化の進展から中小企業の従業員は高齢化が進んでおり、採用難から人手不足も深刻です。技術の伝承や老朽化した工場ラインの刷新、業務プロセスの最適化に対するニーズが高まっています。
これらの課題解決にはDXが不可欠であり、敷居が高いと思われがちな大学との共同研究や従業員向けのリスキリング、職場内での勉強会開催のお手伝いなど、地域と大学の懸け橋となり、周南公立大学の知見を活かした活動ができればと考えています。
西郷先生 : そうですね。 データサイエンスに関連したスキルは、大学生だけでなく、銀行も含めて社会人が学ぶべきものだと思います。データサイエンティストを新卒採用や中途採用するだけでなく、既存の従業員をリスキリングすることも重要です。
奈村取締役 : それでは、当行のDX事例をこの場を借りて、ご紹介させて頂きます。西京銀行では2024年5月6日にクラウド基幹系システム「Bank Vision」への移行を完了しました。これにより、営業店のほとんどの業務はタブレット完結型となり、オペレーションの本部集中による大幅な効率化とペーパーレス化を実現しました。また、営業店のレイアウトをお客様の利便性や相談のしやすさにこだわった、銀行界初のカウンターレスのコンサル型店舗を実現しました。今後は営業スタイルを大きく変革し、お客様の声にしっかり耳を傾け、取引を通じてお客様や地域が「どれだけ良くなったか」「成長のお手伝いができたか」といった視野を広げたコンサル活動とDXを交えて進めてまいりたいと思っています。更なるDXを推進するためにも、新しいビジネスモデルなどがあれば、ぜひご紹介頂けますか。
西郷先生 : そうですね。神奈川県の鶴巻温泉に「元湯陣屋」(https://www.jinya-inn.com/)という大正7年創業の老舗旅館があります。業種は旅館(宿泊業)ですが、後継者の方が大手自動車メーカーのシステム部門に勤めていた経験を活かして、旅館のデジタル化を図りました。宿泊予約システムや顧客管理だけでなく、従業員がタブレットを活用したり、厨房では板前さんがモニターで情報を共有したりしています。
旅館業では珍しく、従業員がリモートで勤務できる体制も構築しています。従業員の満足度も高く、離職率が33%から3%へ低下しました。従業員数が1/3に減少しても売上は2倍になっています。ここはDXの成功事例と言えると思います。