橋本 喜代太 教授

ITの研究と教育、国境は超えるためにある

担当予定科目:

AI・自然言語処理
IoTとAI
実践英語(AI)
計算機概論

専門分野:

自然言語処理、機械学習、センサー技術、人工知能、データサイエンス

受験生へ一言

ITで地域と世界をつなげていきませんか?

先生に聞いてみました!

どんな研究をされていますか?

 もともと人間の言語をコンピュータで扱う自然言語処理が専門です。
 特にさまざまなテキストがポジティブなことを言っているのか、ネガティブなことを言っているのかを推定する感性分析を日本語・英語・中国語など複数の言語にまたがって行なっていました。
 その後、タイ語、ビルマ語、インドネシア語にもターゲットを広げつつ、近年注目されている深いニューラルネットワークを使った深層学習という機械学習手法を使うようになり、画像の説明文生成や文章の要約生成も携わってきています。 また、最近では、WiFiの電波を使って、ある場所にヒトや物体があるかないかを検知するという研究を多方面からやっています。

え?WiFiでヒトの検知ですか?

 はい。意外でしょう?ですが、WiFiというのは電波信号です。だから、その通り道に障害物があれば信号がうまく伝わらなくなりますよね?
 近年のWiFiは高速化を図るために、信号の強弱などをうまく制御するためにCSIという情報をやり取りしています。このCSIを使って、機械学習手法を用いてヒト・物体の検知等が行えるのです。
 ヒトや物体の検知は監視カメラを使えばできるわけですが、見られている感がイヤだという人も多いですよね。WiFiによるヒト・物体検知はそうしたプライバシー問題を回避する上でも期待されています。まだまだ新しい技術なので、いろいろな研究トピックがあって楽しいですよ。

なぜそうした研究に関心を持たれたのですか?

 実はもともと文学部出身なんです。

文学部って、文科系の代表じゃないですか・・・

 はい。そうですね。そこで言語学を専攻し、はじめは言語学の教員として大学の職につきました。
 ただ、同時にIT系にも関心があって、雑誌に解説記事を書いたりもしていたんです。そんな中、せっかくだからIT系でも学術的なことをしようと、文科系の教員として働きながら、情報系の大学院に行き、学位を取りました。もとが言語学なので、情報系でもそれに関係するということで自然言語処理に関心を持ったんです。
 その後、大学改革の流れの中、十数年前にIT系の学科に移らないかと誘いを受け、転身しました。今ではどこに行ってもIT系の教員、ですね。
 WiFiによるヒト・物体検知は、自然言語処理で培った高度な機械学習手法をどう広げていこうかと思っていた時に見つけたテーマで、意外に見えるけど驚くほど精度よく検知できたりするのですっかり楽しくなって現在に至ります。

授業では何を担当されていますか?先生の授業の強みを教えてください。

 いくつかの科目を担当していますが、中でも先ほどの研究の話と直結しているのが「自然言語処理」と「IoTとAI」ですね。
 どちらも本当にいま注目されている分野です。機械学習を使うという点で共通しているのですが、中でも自然言語処理やIoTの知識や経験を持つ人は就職でも引く手あまたです。
 授業では、個々の知識や技術ももちろん解説しますが、それ以上に、その背景の発想や技術同士の関連性という点を丁寧に説明するように心がけています。大局観と細部をうまくつないでいけたら、という思いで授業をしています。

周南公立大学に赴任される前は海外におられたのですよね?

 はい。2015年から8年間、タイのプリンス・オブ・ソンクラ大学というところで大学院を中心にデータサイエンス、特に環境科学への応用に携わっていました。いまもタイ、カンボジア、インドネシアなどで、大学院の指導協力や共同研究プロジェクトをいくつもやっています。
 ですから、将来、私のゼミに来る学生は海外に行くチャンスもたっぷりありますよ。

国際交流センターのセンター長も兼任されていますね

 そうです。周南公立大学はまさにこれから発展していく大学です。公立大学として地域の成長エンジンとしての活躍が期待されていますが、グローバルなこの時代、地域の発展は国際的な展開とセットで考えていく必要があります。
 国際交流センター長としては、インバウンド(海外の留学生の受け入れなど)とアウトバウンド(本学学生の海外派遣など)の二つの方向性がありますが、両方向をうまくつなげるための国際共同研究、海外の大学とのインターンシップ協定なども展開していこうとしています。特に発展が著しく距離的にも近い東南アジアとの関係を戦略的にターゲットにしています。
 いまやIT系の知識や技術は地域の発展にもグローバルな活躍にも必須です。だから、その学びも国際的である方がよいですよね。言語学を専門とする教員時代に長年、英語教育にも携わってきましたから、ITと英語の両方の面で学生一人一人が成長していくお役に立てればと思っています。
 本気でおもしろいことをしたい人はぜひ周南公立大学情報科学部に来てください。